オ スカー・ギリア マスタークラス~モンソン(スペイン)


2月27,28日、ウエスカ州モンソ ンで開催された、
イタリアのギタリストオスカー・ギリアのマスタークラスに参加しました。
街の様子や、ギリアのレッスン内容など、感じたことを報告させて頂きたいと思います。

モンソンはバルセロナからレンフェ(国鉄)で約3時間のところで、バスク地方に向け北西します。
とても寒いところで、日本の1,2月並みの気温でしたが、
人は暖かく、道を尋ねてもみんな親切に教えてくれました。
建物など街の雰囲気は中世の面影を残したような独特のもので、
ホテルやバルなどに入ると、タイムスリップしたような気分にさせられました。
ホテルから、会場であるコンセルバトリオ・デ・モンソンに向かう途中、山の頂にお城が見えて来ました。
高い位置に建てたのは、敵の侵略を防ぐためだろうか、街の象徴とするためだろうか。
この街にはどんな歴史があったのだろう、と思いました。
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コンセルバトリオはとても新しく、音楽家の銅像があるなど、綺麗な建物でした。
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27日は、午前10時からレッスンが始まり、午後2時過ぎまで4名の生徒が、
昼食をはさんで4時から7時まで2組のギターアンサンブルが演奏しました。
ギリアのレッスンは、技術的なことは言わず、ほとんど音楽的表現のみに集中していました。
構造に則したアクセントの位置、旋律ラインに自然な音量のコントロール、
特にダイナミックレンジの狭い生徒に対しては、体を使って大きく表現するようアドバイスしていました。
どのレッスンも共通していたのは、まずニュアンスを歌って聞かせ、
その通りに表現できるまで何度でも弾かせるというものでした。
反応の悪い生徒に対しては、「よく聞け!」と怒り出す場面もありましたが、
全体を通しては、イタリアンジョークを交えたり、聴講生に話しかけたりと和やかな様子でした。

28日は前日と同じ時間割で、僕を含めて3人のソロと、ギターアンサンブルでした。
僕はバッハの無伴奏バイオリンソナタ第一番BWV1001より、アダージョとフーガを演奏しました。
アダージョは、フランス風なスタイルの基本的なテンポ設定を示し、細かい音を装飾的に扱います。
音楽的な力点がどこにあるかをはっきりさせ、流れに方向性を持たせます。
各部分の終止に向かって突き進み、それまでは立ち止まってはならないということや、
上声と下声をはっきり別のものとして聞かせながらも、そのハーモニーを大切にするようにということでした。
フーガは、アーティキュレーションをはっきりさせること、アクセント、トリルの付け方などを指摘されました。
アルペジオとメロディックな部分は変化を付けることや、特にドミナントからトニックへの進行は丁寧に表現します。
ギリアはバッハを得意としており、どちらも的確なアドバイスを受けることができました。

レッスンでもそうですが、皆で共にした昼食や夕食でも、ギリアは日本語で話しかけて来たり、
お気に入りのメロディーを歌い出したりと、ユーモアに溢れています。
過去のエピソードを長々と語るときは、「ギリア節」といった感じで、その場を楽しませてくれました。
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バルセロナのアパートに入って以来のホテル住まいでしたが、久しぶりにスペインの“適当”な気質を感じました。
この日の夜、帰るつもりでしたが電車がなくもう一泊することになりました。
ホテルをとり、翌日の電車のチケットを買いに駅へ行ったのですが、なぜか「夜の11時に来てくれ」と言います。
仕方なく帰り、11時に再び行ったのですが、閉まっていました・・・。
ホテルでシャワーを浴びようとしてもお湯が出なかったり、部屋の暖房がつかなかったり。
あまりの寒さに、ベッドにもぐりすぐ寝ましたが・・・。
翌朝一番にチケットをとり、バルセロナへ向け出発しました。

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