12月25日(土)
クリスマスシーズンになり、今年もあと残り1週間を切りました。
この時期が近づくにつれ街はいろいろな装飾やイルミネーションが施され、
カトリックの国らしく、純粋にキリストの誕生日を祝うという機運が盛り上がります。
考えて見れば、そのニュアンスは日本とは全く異なります。
日本ではとりわけカップルにとって重要なイベントになっていますね。
そういえば、クリスマスイブをどうしても共に過ごしたいという男女が、
様々な困難を乗り越えて命がけで会いに行く、
などというストーリー展開のテレビドラマがあったような記憶がありますが。
しかし、こちらにはそのような風潮はほとんど全くなさそうです。
ここカタルーニャには毎年、クリスマスに関するいろいろな民芸品が製作され、
それらを展示したり販売したりというフェリア(祭り、定期市)が、有名なカテドラル前の広場で行われています。
先日友人と共に訪れたのですが、キリストが誕生した情景を描いた工芸品や、妖精、魔女などの木造品、
また有名人などをカタルーニャ独特のジョークを織り交ぜて扱われた人形など
(どの様なジョークかはここに書くことはできませんが)、
中世から受け継がれてきたであろう、素朴なヨーロッパの風土をとてもよく伝えていました。
話は変わりますが、CGを駆使して製作された映画、「POLAR EXPRESS」を見ました。
これは日本でも公開されているのでしょうか?
眼鏡を伴って鑑賞することにより、3Dのリアルな映像になっているのですが、
鉄道などを扱った、ありえないだろうと言いたくなるようなスリリングなアクションや、
サンタクロースに関する少年の夢を描いた、シンプルだけどどこか懐かしいストーリーなど、
子供の気持ちに帰らされるような、とても心に残る映画でした。
多少のニュアンスの違いはあれ、クリスマスというのが特別な日であるのはどこの国も同じです。


12月17日(金)
今までに何度か訪れたことのあったカタルーニャ美術館ですが、今回初めて作品鑑賞のために入 場しました。
この美術館はロマネスク様式から現代までのカタルーニャ美術を中心に展示されていますが、
質、量ともに充実していて、大変見ごたえのあるものになっています。
中でも
12世紀頃から16世紀頃までのロマネスク、ゴシックの各様式の作品は、
壁画、天井画なども含めてかなりの数にのぼり、この地方の歴史を生々しく語っています。
美しい宗教画や細やかな装飾品や彫刻作品がある一方で、南から侵略してきたイスラム教徒との戦争や、
異教徒間で行われたらしき拷問や処刑の凄惨な情景が描かれていたりします。
そういった歴史的な意味でも、また文化的風土の点からも、南ほどではないにしろ
イスラムの影響はここカタルーニャにも確かに存在するのだと感じさせられます。
宗教画からその後のロマン派への過渡期を示すバロック、古典様式や、
一般的には有名ではないカタルーニャの画家達による、ロマン派、印象派、モデルニスモの作品群も、
北スペインの文化を感じさせる緻密で美しいものです。
その他、いくつかのゴヤの作品や、タピエスなどの現代作品、またガウディ作なる椅子なども展示されていました。
ちなみに以前、友人のディエゴと2重奏のコンサートを行った場所は、
12世紀のロマネスク様式による壁画、天井画が展示されたフロアーだったことが判明しました。
それほど気にしていなかったあの時の壁や天井は、貴重な文化遺産だったのでした。


12月13日 (月)
先日から数度に渡って、ソルの幻想曲をフェルナンドに見て頂きましたが、
この曲を通して古典期の音楽、また変奏曲形式の作品の扱いについて確信を持てるようになりました。
ハ短調のイントロ部、ハ長調の主題や様々な性格の各変奏部は、
フェルナンドの音楽性の多面性を知ることに役立ち、
またそれに伴い、右手左手共に僕にとっては革命的な使い方を知ることができました。
彼のレッスンは、多くのことに気付かせてくれる大変素晴らしいものです。


12月3日(金)
外国人の中にはしばしば、「禅」を学んでいる、またはよく知っているという人がいるものです。
そして日本人である僕にその話題を持ちかけられたりするのですが、
そういう僕は禅というものが一体どういうものであるのかほとんど全く知りません。
また、作曲のD・パドロス先生は日本の伝統音楽や文化をよく研究されていて、
レッスンの折にその話題に触れられることがあったりするのですが、
何かの固有名詞や専門用語など、僕の方は全く知らないということがあります。
例えば能の美的理念であるという、「幽玄」なる単語など。
外国人から日本のことを教えられるという不思議な体験をしている次第です。

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